NOVAHALL & TSUKUBA-CAPIO PERFORMING ARTS ARCHIVES
ノバホールとつくばカピオのこれまで
2005年
世界物理年記念講演会・コンサート(現「科学と音楽の響宴」)
2006年
第1回つくばで第九2007年
ねんりんピック2007つくば市交流大会
2008年
国民文化祭いばらき2008「小倉百人一首かるた競技全国大会」
天皇・皇后両陛下と
スペイン国国王・王妃両陛下 ご来館
2011年
小ホール 開館2012年
つくば市制25周年記念公演西本智実&イルミナートフィルハーモニーオーケストラ演奏会
2013年
ノバホール開館30周年記念公演三大ピアノ聴き比べコンサート
2017年
つくば市制30周年記念式典2019年
つくばセンターピル設計者磯崎新(建築家)
プリツカー章 授章
G20 茨城つくば
貿易・デジタル経済大臣会合
プレスセンター 開催
いきいき茨城ゆめ国体
デモンストレーションスポーツ
ダンス&パフォーマンス
2012年
つくばカピオ開館15周年記念公演40th Anniversary イルカ with Friends
2014年
大相撲つくば場所2016年
つくばカピオ開館20周年記念公演20年目のコンサート
2018年
第30回国際情報オリンピック日本大会
2019年
いきいき茨城ゆめ国体公開競技
パワーリフティング
デモンストレーションスポーツ
スポーツ鬼ごっこ
いきいき茨城ゆめ大会
正式競技
車いすバスケットボール
※悪天候のため、中止
2020年
新型コロナウイルス感染症の拡大により、一時休館→再開2020年
新型コロナウイルス感染症の拡大により、一時休館→再開to be continued...
コラム
つくば舞台芸術フェスティバル‛98
前年度の1997年、つくば舞台芸術監督に就任した演出家・小池博史氏(当時パパ・タラフマラ主宰)の企画・構成による〈つくば舞台芸術フェスティバル'98〉を、つくばカピオホールで開催(10~11月)しました。同フェスティバルは、演劇・ダンス等に適したカピオホールを会場として、国際都市にふさわしい先進的、国際性豊かな舞台芸術の紹介を目的として開催されていました。※1997年度はプレ企画としてアマチュア9団体による9公演を実施
1998年の第1回では、ダンスカンパニー/パパ・タラフマラによるアーティスト・イン・レジデンス作品『春昼~はるひる~』をはじめ、山崎広太(ダンス)、山下洋輔&地元アマチュアビッグバンド(会場ノバホール)、一般参加のアマチュア劇団等5企画、シンポジウムなど、カピオホールを最大限に活用したステージパフォーマンスが繰り広げられました。
以後、同フェスティバルは2004年まで続き、近藤良平、伊藤キム、岩下徹、木佐貫邦子、白川直子、笠井叡、大野一雄、山海塾、コンドルズなど国内アーティストをはじめ、国外からもジョセフ・ナジ、インバル・ピント、カンドゥーコ・ダンスカンパニー、キブツ・ダンスカンパニーなど、特に舞踏・ダンス分野での紹介(本公演・ワークショップ)につとめました。
※一般アマチュア参加部門については、2000年に〈つくばカピオ・フェスティバル〉と名称を変えて2003年まで開催
白石加代子『百物語』つくば第一夜
3月、白石加代子さんの代表作『百物語』がカピオステージに初お目見え。様々な「恐怖」をキーワードとして、明治~現代の邦人作家の作品を中心に、朗読の枠を超えた、立体的な語りと動きで演じる『百物語』シリーズ。
つくば第一夜は、伝説の第一夜(1992年岩波ホールで上演)と同一のプログラム、夢枕獏『ちょうちんが割れた話』『二ねん三くみの夜のブランコの話』筒井康隆『如菩薩団』半村良『箪笥』でした。以後2014年7月つくば第十四夜、シリーズ・ファイナルとなる三島由紀夫『橋づくし』泉鏡花『天守物語』(第99話)まで、カピオホールの定番演目として、観客を魅了しました。
ノバホール
ノバホールとつくばセンタービルの設計
ノバホールは、複合施設である「つくばセンタービル」の一角(南側)を占め、建築家・磯崎新氏の設計のもと、1983年6月に開館いたしました。「つくばセンタービル」の誕生は、それまで(20世紀中ごろ)の多くの建築物が、合理的で無機質、味気ない印象を与えてきたことから、この反動として世界的に新たな潮流~明るく自由な雰囲気のデザイン、が起こる中で生まれました。
円や曲線、三角形や幾何学模様をモチーフとした意匠や、ギリシャ・ローマ時代等の歴史的建築様式の引用、さらにはアールデコの装飾性など、機能一辺倒でなく遊び心を利かせ、デザイン性に富んだ建物となっています。
もちろんノバホールにもこの考えに基づく工夫が随所にみられ、訪れた際には、客席を満たす豊かな響きとともに、これらを探索してみるのも楽しみのひとつとなります。
街の象徴ともいえる「つくばセンタービル」の存在は、多くの人にとって建築物をただの箱モノとしてみるのではなく、建築家の個性ある作品としてみるきっかけにもなったといえるでしょう。
ノバホールの由来
ノバ(NOVA)とはラテン語で「新星」の意味。新しく誕生した筑波研究学園都市のシンボルとして、光り輝く芸術の殿堂という意味合いが込められています。ラテン語の採用は、アカデミックな印象が強いことから、このつくばの地にふさわしいものとなっています。
ノバホールの設備の特徴
音の響きを重視した大ホール
コンサートホールといえば、今でこそ音響的に優れたホールが日本全国にみられますが、1980年代前半においては、まだまだ音質を重視した設計思想のホールは、大都市でもそれほど多くみられませんでした。ノバホールは、このコンセプトを取り入れた先駆けの一つで、主にクラシック音楽の演奏会を想定し、19世紀の劇場を模範に、箱型(シューボックス)、桟敷席(バルコニー席)を両サイドに設けるスタイルとなっています。 音のこだわりでは、NHK放送技術研究所?の協力を得て、アンプを使わず舞台からの音が直達できるよう設計され、舞台の音がムリなく拡散できる技術を駆使しています。さらには音響可変装置を組み込み、人為的に残響時間を調節することができます(残響時間/1.4秒~2秒)。これは、残響時間が長い方がいい弦楽器や合唱の場合、逆に短い方が好ましいピアノや打楽器などの場合と、各々のステージパフォーマンスに対応できるもので、また、演奏者の好みによっても変えられるという、利用方法が自由に選択できます。
ぜひ客席にお越しの際には、コンサートの内容と共に、音響可変装置(ステージに向かって左右壁面のルーバー、客席天井の箱)の状態にも注意してみてください。
色々な使い方のできる小ホール
小ホールは1983年の開館当初からのものではなく、隣接する茨城県の施設の移管を受けてリニューアルし、ホールとして2011年に開館しました。ミニコンサートや練習会場だけでなく、本館ホールの予備楽屋等として利用されることも想定して設置しています。世界三大ピアノ
ノバホールは、スタインウェイ、ベーゼンドルファ、ベヒシュタインという「世界三大ピアノ」を所有しています。2013年には開館30周年を記念して、それぞれの音色を楽しむ「3台ピアノ聴き比べコンサート(リンク)」も開催されました。スタインウェイ・アンド・サンズ(Steinway & Sons)
通称スタインウェイ。創業は1853年(ドイツ/アメリカ)。ヨーロッパで培われた伝統を受け継ぎながら、ピアノ創作に多くの革新をもたらしたブランドです。ピアノ製造に関する特許は、なんと100以上!ピアニストとしても有名なセルゲイ・ラフマニノフは、「スタインウェイのピアノは、すべてにおいて完璧です。」と語っています。スタインウェイ最大の特徴は、大きなホールや大編成のオーケストラにも負けない、強い存在感です。特に高音は弦が短いので、大きなホールで充分に響かせるのは難しいのですが、スタインウェイは、ピアニシモ(最弱音)でもピアノ全体を鳴らして美しい響きを遠くまで届けることができます。クラシックからジャズ、ポップスまで、幅広いジャンルのアーティストに愛されています。現在あるノバホールのスタインウェイは、1997年導入の2代目です。
Model:D-274 奥行:274cm 間口:157㎝ 製造番号:531554
ベーゼンドルファ(Bösendorfer)
創業は1828年(オーストリア)。ピアノメーカー群雄割拠の時代だった19世紀ウィーン。その中でベーゼンドルファだけが、美しい伝統の音色「ウィンナートーン」を現在に伝えています。このピアノを語る際に欠かせないのが、カリスマ的ピアニスト、フランツ・リストです。当時、彼の激しい演奏に耐えられず、2・3曲で演奏不可能となるピアノが少なくありませんでした。ベーゼンドルファはリストの強いタッチに耐えた上に、彼の要求する演奏レベルをはるかに越えて、演奏会を成功に収めたのです。
創業から190年経った今もなお丁寧な手作業で作られているため、その生産台数は5万台ほどと希少な幻の名器です。ノバホールのベーゼンドルファは1983年製で、ノバホールと同い年。「ウィーンの三羽烏」のひとりと呼ばれたピアニスト、パウル・バドゥラ=スコダによる選定書が残っています。通常のピアノより最低音を9鍵拡張しているインペリアルモデルで、大きなボディで非常に豊かな音を響かせます。
Model:290 Imperial 奥行:290cm 間口:168cm 製造番号:36290
ベヒシュタイン(Bechstein)
創業は1853年(ドイツ)。時代の潮流に合わせて、大音量・大迫力の音を追求した現代のピアノと比較すると、サロン向きに、音の減衰が速く一音一音が美しくとけあうよう設計されています。音が混じりあいながら消えていくときの「色彩感」はベヒシュタイン唯一無二の特徴で、ドビュッシーをして「ピアノ音楽はベヒシュタインだけのために書かれなければならない」と言わしめたほどです。また、音の立ち上がりも速く、わずかなタッチの差に正確に反応するため、演奏家の欲しいタイミングで欲しい音色を出すことができます。
ノバホールのベヒシュタインは、元々市民愛好会の方から寄贈いただいたものです。2011年の小ホールオープン時に、「世界三大ピアノをノバホールにそろえよう」と、現在の市民ホールやたべから居を移しました。推定1940~1943年に製造されてから、多くの人の手を介し、今でもノバホールで活躍しています。
Model: 奥行:270cm 間口:160cm 製造番号:67394
第25回 建築業協会賞(BCS賞)
ノバホールを含む「つくばセンタービル」は、デザイン面だけでなく、施工技術面でも優れる建築作品に贈られる「建築業協会賞(BCS賞)」を1984年に受賞しました。また設計にあたった磯崎新氏は、建築界のノーベル賞ともいわれる「プリツカー賞」を2019年に受賞したのは記憶に新しいところです。長年にわたり多角的、積極的に活動してきた功績が評価され、建築界に多大な影響を与えたことが受賞の理由となっています。
つくばカピオ
つくばカピオ建設の経緯
つくばカピオの建設構想は、つくば市が誕生した1987年まで遡ります。当初、つくば市誕生のシンボルとして、住民交流の場、つくば市民としての一体感を育む場を求める要望に始まり、1990年には、「市民交流センター(仮称」」を竹園に建設することが決定しました。既にオープンしていたノバ、アルスホールなど、近隣の文化施設との差別化を図る検討が重ねられ、最終的にアリーナとホールを中核施設とする、多目的施設が生まれることとなったのです。 設計は谷口吉生氏(谷口建築設計研究所)で、1996年7月に開館しました。
「カピオ」の由来
「つくばカピオ(capio)」という名称は、一般公募による564件の中から選ばれました。「カピオ」はノバホール同様ラテン語で、「箱」という意味を持つ「カプサ(capsa)」の語源となる言葉です。外観がすっきりした箱型をしていることから、この名前に決定されました。ちなみに、「カピオ」本来の意味は、「取得、獲得」ということで、転じて「財産」「魅力」という意味を持ちます。市民の要望から誕生した交流の場が、多くの人に育まれ、親しまれていくことで、何にも代えがたい市民のための"真の財産・魅力"となっていく願いが、込められているようです。
つくばカピオのロゴマーク
つくばカピオのロゴマークをご存じでしょうか?開館当初につくられたもので、アルファベットでアリーナの"A"と、ホールの"H"を横に並べた、シンプルな描線のデザインで、下に"capio"が入ります。つくばカピオをファサード(正面)から見ると、ロゴとそっくり(左にアリーナ、右にホール)であることが分かります。建物の外壁にもこのロゴマークがありますが、さて、どこでしょう...。
第40回 建築業協会賞(BCS賞)
ノバホールの受賞から15年後の1999年、つくばカピオも「建築業協会賞(BCS賞)」を受賞しています。 また、設計にあたった谷口吉生氏は、これまで国内外数々の受賞歴をお持ちですが、2001年には、東京・上野にある国立博物館法隆寺法物館で、国内で最も権威のある建築の賞、「日本建築学会賞(作品賞)」を受賞しています。ここを訪れた方でしたら既にお気づきのことと思いますが、この法隆寺法物館のファサードは、つくばカピオを思わせるデザインとなっています。解放感ある箱型のキャノピー(ひさし)や屋根を支える細い柱、ガラス張りや金属パネル等の使用など、共通点が多々見られます。
氏の作品は、ほかにも美術館・博物館など多く手がけていて、ニューヨーク近代美術館(新館)をはじめ、葛西臨海水族園、GINZA SIXなども彼の設計になります。
随時更新中(2021/3/31更新)