EXHIBITION

イベント情報

ピアノの巨人たちの肖像「ショパンvsリスト」 チケット購入のご案内

若いピアノ界のホープ・金子三勇士と、文筆家で文化芸術プロデューサーの浦久俊彦が誘う、新感覚のトークコンサート!ショパンとリストは史上最大のライバルか?それとも同志か?19世紀ピアノ界に君臨する二大巨匠の新たな世界へ。
金子三勇士 インタビュー

(公財)つくば文化振興財団では、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底して、公演を開催いたします。チケット購入、公演ご来場の前に、必ず当HP内「(公財)つくば文化振興財団における新型コロナウイルス感染防止対策とお願い」をご確認ください。本公演は、感染拡大状況により中止する場合等があります。また、当日に発熱などの体調不良が認められる方、感染対策にご協力いただけない方等は、ご入場をお断りする場合がございます。予めご了承ください。皆様のご理解・ご協力をお願い申し上げます。

公演日時 2021年3月17日(水)
19:00開演(18:00開場)
会場 ノバホール(つくば市吾妻1-10-1)
料金 一 般[自由:整理番号順入場制] 4,000円
友の会[自由:整理番号順入場制] 3,800円
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※車いす席をご希望のお客様は、財団(029-856-7007)までご相談ください。
※チケット購入は1名様1枚まで。
※チケット予約・購入の際に、ご来場のお客様ご本人のお名前・ご連絡先等が必要です。
※混雑緩和のため、整理番号順入場制とさせていただきます。チケット記載の番号をご確認ください。
※座席数を減らしてご案内する場合がございます。
発売日 ◎友の会先行◎
ネット・電話予約:2021年1月16日(土)10:00~13:00
◎一般発売◎
一般予約:2021年1月17日(日)10:00~
窓口販売:2021年1月19日(火)9:00~
チケット取扱い
ノバホール
TEL:029-852-5881
つくばカピオ
TEL:029-851-2886
(公財)つくば文化振興財団
TEL:029-856-7007
財団ネット予約・購入ページ(外部リンク)
プログラム ショパン:英雄ポロネーズ
リスト:コンソレーション第3番
ショパン:黒鍵のエチュード
リスト:ラ・カンパネラ
ほか
※都合により、プログラム等は変更となる場合がございます
出演 ピアノ:金子 三勇士
20201127163207.jpg
1989年日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれる。6歳で単身ハンガリーに渡りバルトーク音楽小学校に入学、 2001年からは11歳でハンガリー国立リスト音楽院大学(特別才能育成コース)に入学。 2006年に全課程取得とともに帰国、東京音楽大学付属高等学校に編入する。東京音楽大学を首席で卒業、同大学院修了。 2008年、バルトーク国際ピアノコンクール優勝の他、数々の国際コンクールで優勝。第22回出光音楽賞他を受賞。 これまでにゾルタン・コチシュ、小林研一郎、ジョナサン・ノット他と共演。国外でも広く演奏活動を行っている。 NHK-FM「リサイタル・パッシオ」に司会者としてレギュラー出演。 2019年5月には新譜CD「リスト・リサイタル」をリリースした。 コロナ禍でも、オンラインを活用したさまざまな企画を発信中。2021年は日本デビュー10周年を迎える。 キシュマロシュ名誉市民。スタインウェイ・アーティスト。オフィシャルHPhttp://miyuji.jp 

ナビゲーター:浦久 俊彦
urahisa_shintsubo_01_color_cut.jpg
文筆家、文化芸術プロデューサー。パリを拠点に文化芸術プロデューサーとして活躍。帰国後、三井住友海上しらかわホールのエグゼクティブ・ディレクターを経て、現在、浦久俊彦事務所代表。一般財団欧州日本藝術財団代表理事、代官山未来音楽塾塾頭、サラマンカホール音楽監督、三島市文化アドバイザーなど、その活動は多岐にわたる。著書に『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』、『悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト』(以上、新潮社)、『138億年の音楽史』(講談社)などがある。2020年6月に『フランツ・リストはなぜ~』の韓国語版『フランツ・リスト~ピアニストの誕生』が、韓国で出版された。
金子三勇士
インタビュー
本企画の誕生秘話や聴きどころ、ピアニストになるまでのお話や、音楽家としての想いについて、お話をうかがいました。

IMG_5400.jpg

日本とハンガリー 2つの故郷をもつピアニスト
 プロフィールにもあるとおり、僕はハンガリーというもうひとつの故郷をもち、その国が誇る作曲家フランツ・リストの生誕200周年にあたる2011年にプロとしてのスタートを切ったピアニストです。お陰様でそこから約10年になりますが、その間ずっと、お客様と一緒に音楽を楽しむことを大切にしてきました。
 長くハンガリーにいたからそう思うのかもしれませんが、日本では、クラシックの音楽家とそれを楽しんでくださる方々との間に距離があるような気がするのです。歴史ある芸術をお届けする立場にはありますが、舞台に出て好きなものをバーンと弾いて帰るという一方的な形にせず、公演アンケートやSNSなど、皆さんの想いをできる限り受けとめて、次に繋げるようにしています。そうやって一言二言でも言葉をいただくうちに「こういうものをお聴きになりたいんだ」「興味がおありなんだ」というのが見えてきました。

対話の中で驚いた絶大なショパンの人気
 その中での大きな発見が...もう、びっくりするぐらい皆さんショパンがお好きなんだ、という(笑)。ずっと日本を離れていたので、クラシック音楽やピアノがどのように広まっているのか、帰ってきて初めてわかったことが沢山ありました。あまりにも各所で「もっとショパンを」という声をいただいて「タダゴトじゃないな」と。
 実は、僕自身はそれまでショパンにあまり縁がありませんでした。節目で弾いてはいるのですが、ポーランド(ショパンの故郷)にいたわけではないので、超一流ショパン弾きの、特にポーランドの方の演奏を聴くと「これ以上の演奏はない」と思ってしまうのです。でもショパンに触れたい方に「あちらの演奏を聴いてください」と言うのは違う...と色々模索しました。

試行錯誤の末に、フランツ・リストにたどり着く
 そんなとき、僕がずっと敬愛してきたリストの音楽には、実はショパンが深く関わっていたことに気づきました。ピアノの「詩人」ショパンと「魔術師」リスト。対照的にみえる2人ですが、人間的にも音楽的にも大の仲良しだったのです。
 「リストが大好きな自分からみたショパン」という視点で見るようになって、はじめて何かストンと納得いくような気がしました。いざそう考えると、非常にいい流れのプログラムが作れたのです。ショパンがお好きなお客様にも喜んでいただけて、新しい刺激が欲しい方にはリストも楽しんでいただける。すごくバランスのとれたお料理のコースのようなものですね。
 2人の魅力をどちらも味わって、最終的にショパン派?リスト派?両方?とお選びいただくのも楽しいと思います。レストランの「お肉?お魚?」的な自由さで。ただ、どちらが本当においしいかは、両方召し上がっていただかないと、なかなか判断がつかない気がします。

2人の新しい姿を引き出す大胆なプログラム
 自分で言うのも変ですが、ショパンの「ピアノ・ソナタ第2番」とリストの「ピアノ・ソナタロ短調」という大作を続けて演奏するのは、同業者に「頭おかしいんじゃないですか?」と思われるくらい、普通ではありえないプログラムです。精神的にも肉体的にも自分を限界手前まで追い込まないと向き合えません。ですが、やるからには真正面から対比しないと、2人が見えてこないと思いました。
 前半の小品も「ショパンかな?」と錯覚するリストの曲があったり、逆に「リストが書いてもおかしくない」と思うショパンの曲があったり、そういう世界が見えて面白いと思います。有名な「ラ・カンパネラ」や「雨だれ前奏曲」も、今まで「リストのカンパネラ」「ショパンの雨だれ」と聴かれていたのが、なにか違ってみえるのではないでしょうか。トークを交えて、その魅力を皆さんと一緒に探っていきたいと思っています。

IMG_5389.jpg

ピアニスト・金子三勇士のバックグラウンド
 僕は小さいころからピアノが大好きでした。2人の兄姉もピアノを習っていたのですが、僕が生まれる前にそれぞれが非常に短いピアノ人生を終えてしまったので、家族の中では「もう3番目の子はピアノなしでいいよね」ということになっていたそうです。でも、そういう子に限って興味をもっちゃうものですよね(笑)。
 もうひとつ大きかったのが、ハンガリー人である母方の祖父母の存在でした。両親の仕事が忙しかったため、祖父母が定期的に来日して、僕たちの面倒をみてくれていたんです。そうすると、日本にいるのに家庭の中は小さなハンガリーみたいになるんですよ。ハンガリー語しか話さないですし、ハンガリー料理が出てきますし、ハンガリーの歌を歌っていました。そういう環境で、小さいながらに2つの国を意識するようになりました。

ハンガリーへの旅立ち
 5歳頃の夏休みにハンガリーに行きました。物心ついて初めて、自分でハンガリーという国を観て、そこの人と交流して...そして、のちの恩師のお宅にお邪魔する機会がありました。当然ピアノがあったので僕は夢中になってしまったのですが、それを見た先生が「本格的に勉強してもいいかもしれない」と言ってくださったのです。もちろん家族は反対しました。ですが...今でもよく覚えているのですが、「そこに行かなきゃ」という強く不思議な感覚があって「ハンガリーで勉強したい」と何度もお願いしました。相当しつこかったのか、最終的に「そこまで言うなら一人で行っておいで」ということになったのです。多分これで諦めると大人は思ったのでしょうが、自分からお願いした手前、本当に行くことにしてしまったのです。いざ飛行機に乗ったら涙ボロボロなんですけど(笑)。
 難しいことは何もわからないまま出発しましたが、ちがう国で生活するというのは甘い話ではありませんでした。祖父母や親戚に助けてはもらうのですが、文化も言葉もハードルが高く、学校の習慣もわかりませんでした。一番の問題は、見た目が全然ちがうこと。狭いコミュニティで、なかなか大変な日々でした。
 ですが、一番はじめに純粋に感じた、とにかくピアノと音楽が大好きで、ずっと続けていきたいという想いだけは、変わらずに今まで来ています。どんなに嫌なことがあっても「諦める」という選択肢が出たことはありません。逆にそれくらいでないと、やっていけない世界なのかもしれませんね。

ピアニストの原点は、リストの「草の根活動」
 最初にもお話しましたが、クラシックの音楽家と、音楽を日々求めてくださる方々との、この距離は一体なんだろう?...というのが、今でもよくわかりません。面と向かって「ピアニスト様」なんて言われることもあります。なぜ理解に苦しむかと言いますと、そもそもピアニストという職業が、これとは正反対のところから誕生しているからです。
 「ピアノ・リサイタル」を歴史上はじめて開催したのは、フランツ・リストです。当時はウィーンなどの大都市で劇場や楽団が沢山創設され、オペラや交響曲、歌曲など多彩な音楽が披露されましたが、少し地方へ行くと何もない状況でした。「これではだめだ」と考えたリストは、あらゆる作品をピアノ版に編曲して、身ひとつでヨーロッパ各地へ赴き、小さな会場でコンサートを沢山開きました。これを聴いた人々が「これはいい」と、次の機会を求めてくださった。彼の活動があったから、今これだけ音楽ファンが増えたのではないかと思います。
 このように、ピアニスト側からパーソナルに音楽を届けることから出発しているのに、「お客さんもビシッとした格好しないとホールに入れません」みたいなイメージはどこから来たのでしょうか。やっぱり音楽って、誰が聴いていいとか、聴いちゃいけないとか、ないじゃないですか。聴いた上での好き嫌いはその人の判断によりますが、それに至る部分で壁を作りたくないと思っています。ホールへ行けない方のために学校などでコンサートを行ったり、動画配信だったり、音楽配信サブスクリプションのおすすめプレイリストを作ったり、できる形で音楽をお届けしたいな、と。

金子三勇士が見据える「今」と「未来」
 想いとしては原点に戻ってやっていきたいと思っているのですが、一方で、約200年前と同じことをやってもだめなんですよね、当然ですが(笑)。今、令和の時代になって、色々な物事がすごいスピードで変化していると思います。今までなら、年単位で「来年はなにをしようか」なんてのんびりできた時期もあったのですが、コロナをはじめ、24時間に色んなことが起きすぎていて。でも、それをある程度全部把握しなくては、ピアニストとしても、一社会人としても、自分たちがどこに向かっていて次に何をするべきか、冷静に考えられなくなっちゃうと思うんです。
 駅のホームに立って、走り去る特急列車を眺めるのではなく、どうしたら乗れるのか、もっと言うと、どうやったら列車を運転できるのかということまで踏み込んでいかないと、「あぁ、また1本見送り...」ということになってしまう。「時代の先端に立つ」というかっこいい言葉がありますが、そういう努力をしなければ、結局200年前のリストたちが持っていた想いというのも、今の世の中に通用しなくなってしまうという気がします。

今、音楽に、そしてピアニストにできること
 よく「正解がない世の中」と言いますが、やっぱり正解はないと思います。僕は理系ですが、理数系の頭で考えても、そこがひとつの魅力だと思いますし、なかでも音楽というのは、どこまで突き詰めてもゴールがない分野だからこそいいなと思っています。人によって音楽の伝わり方や受け止め方は全然違いますし、もっと言えば、同じ人でもその日の体調や環境で変わると思います。子ども達に音楽を届けると、一般的には暗くて寂しいといわれるショパンの『遺作』の夜想曲を、「今の楽しかったー!」と言ってくれる子もいたり。
 一番大事なのは、「ショパンvsリスト」の誕生の背景に戻りますが、「今こういう音楽を聴きたい」という瞬間に、どうすればその音楽をその人にお渡しできるか...私たち音楽家がよく考えなければいけないと思っています。人生の中には、人が音楽を求める瞬間というのがあると思うのです。そんなときに目の前に音楽がないことは、とても悲しいことです。
 プレイリストだったり、動画だったり、生のコンサートだったり、ひとりでも多くの方が「今これを聴きたい」というときに、その音楽に出逢える...皆さんが求めているものを、求めているときにリーチできるようにするということを続けていきたいです。

(2020年11月5日(木)ジャパン・アーツ本社にて)
主催:
つくば市・(公財)つくば文化振興財団
お問合せ:
(公財)つくば文化振興財団TEL:029-856-7007

チケット購入のご案内